リメーク

最近テレビでリメークの作品を見た。昔NHKで放送した「なぞの転校生」と、高倉健が主演した「刑事」。

リメークは、全く同じストーリーを俳優を変えて作る場合と、ストーリーと俳優を変えて作る場合があるが、この二つは後者に属します。どちらも脚本が良く、「なぞの転校生」は岩井俊二が、「刑事」の方は早坂暁が書き、オリジナル以上の作品になっています。

リメークの「謎の転校生」は、SFであることに違いはないのですが、見ている方は人間ドラマに意識が向いて行きます。やはり描くテーマがはっきりしているからだろうと思います。映像も新鮮なんです。このような作品が深夜番組に有って、ゴールデンタイムに訳の分からないつまらない番組を、放送しているテレビ業界の感性が全くわかりません。

ボサノバ・ジャワ


以前ホームページでディディ・クンポットの曲をボサノバ風に歌っているのを紹介しましたが、同じ歌手がマントースの曲をやはりボサノバ風に歌っているのを見つけました。ディアン・クスマ(DIAN FK )と言う歌手で曲は
GETHUKです。
この曲は有名なようで多くの歌手によって歌われています。

マントース自身のは見つかりませんでした。

はたらく一家


ユーチューブの成瀬作品を見ました。今回は「はたらく一家」。題名からしプロレタリア文学ですが、成瀬に掛かると貧乏がプロレタリアになりません。
1939年作品
原作 徳永直
脚本 成瀬巳喜男
出演 徳川夢声

原作自体が成瀬好みなのでしょう。坂口安吾は「これも、やつぱり、読物だ。文学だと思つてはいけない。」てな事を言ったらしいが、だから成瀬好みじゃないだろうか。貧しい生活を描いているが、彼はその原因を掘り下げようとして、この映画を描いているわけではないでしょう。話は貧乏を抜け出す結論も、方向も見出さずに終わります。最後の場面で、親と子供たちと先生が話し合って、だからと言って結論が出て終わるわけではないのですが、子供たちが二階で「がんばるぞー」と言って、でんぐる返しを繰り返します。この辺の演出が、この頃の成瀬の特徴なのでしょうか。このような突飛な演出が、この後の作品にも出てきます。突飛ですが、うまく決まっているのです。それが成瀬の天才技で、その作品のイメージを説明的ではなく、映画的に表しています。

MANTAP VIVA SOUNDNATION


久しぶりにANTVで音楽公開番組を見ました。最近タイの音楽公開番組7C(チェット・シー)と言うのも見ているのですが、タイに比べてインドネシアの番組はちょっと舞台も衣装もチープです。然し乗りは好いです。

  • ECA ROBOT
  • GEISHA Cukup Tak Lagi
  • XOIX Cukuplah Sudah
  • SUPER GIRLIES Onden Onden
  • S4 Shes My Girl
  • ROCET Rage

ここまでのところでは、ゲイシャとスーパーガールズが判りましたが、どちらもいいですね。時々観客も映るのですが、イマイチ少ないです。現地は日曜日の午後2時。場所はスナヤンの駐車場の様です。

最後はゲイシャ・モモの歌であまり盛り上がらずに終わりました。

旅役者


ユーチューブに成瀬巳喜男の初期の作品が多くあります。その中で今回は「旅役者」を見ました。何かの本で、「男が路地裏をうろちょろしているだけで、映画になってしまう」と言うような事を成瀬監督の映画に対して言っていました。まさにそのような映画です。たいした事件らしい事も起きないが、決して飽きさせない映画を作ってしまう監督には脱帽です。

1940年度作品
脚本:成瀬巳喜男
音楽:早坂文雄
出演:藤原鶏太(釜足)、柳谷寛、清川荘司清川虹子中村是好馬、高勢實乘

旅芸人中村菊五郎一座の役者俵六(藤原釜足)は、馬の前脚を務める役者で、その芸の研究に余念がない。ひょんなことから、馬の頭がつぶされ、本物の馬を使う事になってしまう。そして本物の馬が評判になってしまい、彼のプライドも傷ついてしまう。それぞれの役者が役にはまり、のどかな田舎町のなかで話は、ちょっと胡散臭く、小さな意地のぶつかり合いで進んでいきます。この様な話になると、成瀬監督は絶品です。

さて最後の落ちはどうでしょう。舞台上で本物の馬が尿を垂らしてしまうので、「やっぱし本物の馬は、馬の芸はできない。」とまとまりそうですが、そうなりません。この辺の終わり方は、評価は分かれるのかもしれませんが、「さすが」だなと思いました。ネタ晴らしにならない程度に言うと、本物の馬を「役者馬」が追いかけて行きます。

すっ飛び籠(1952年)


監督:マキノ雅弘
脚本:伊藤大輔
撮影:宮川一夫
主演:大河内伝次郎
ユーチューブで見ました。河内山宗俊の話ですが、監督、脚本、撮影、主演と一流がそろった映画です。中でも脚本が、好いですね。伊藤大輔の時代劇は最後が捕り方に囲まれて、壮絶な立ち回りで終わりますが、今回はその手前で、河内山が遠くに見える御用提灯に囲まれているところで終わって、画面に余韻を持たしています。ストーリー的にも、使命を果した市之丞が、すっ飛び駕で三千歳の許へ戻るところは、描いていません。三千歳のなかを、断たれた直次郎も捕り方に囲まれる前に、川に突き落としてしまいます。そこで、この4人のこれからの展開は描いていません。これが好いですね。宮川一夫の画面は奥行のある、きちっとした構成で、それぞれのカットが、決まっています。